沈金

日本の伝統工芸との融合

日本には室町時代に伝わったと云われる「沈金」。
沈金刀と呼ばれる特殊な刀で点と線を一つ一つ、より繊細に彫りながら図を構成し、全体に極上の漆を摺りこんだ後、間をみて拭き取ります。 掘った部分に漆が残り、金粉や顔料を溝の中に撒きいれます。
最終的には、フジゲン塗装職人により鏡面加工仕上げを施します。

2006年、フジゲンスタッフはエレキギターと工芸品を融合させ、日本のエレキギターメーカーによるJAPANESEイメージのギターを製作するプロジェクトを立ち上げる。JAPANESE的なエレキギターは、過去様々なメーカーから発表されているが、フジゲンの考えたコンセプトは、装飾だけに留まらず、プレイヤビリティーにも優れ、なおかつステージにも映えるギターを世の中に出して行きたいというものだった。その結果、日本の伝統工芸を取り入れる方向でプロジェクトは動き出した。
長野県木曽平沢にある漆工房「石本玉水」訪問 し、日本の伝統工芸「沈金」とフジゲンギターを融合する打ち合わせを実施。「フジゲンにて漆との密着が優れ、なおかつ沈金刀による彫刻・装飾が可能なボディー状態を開発し、石本玉水にて沈金装飾、最終的にフジゲンにてトップコーティングをする」という計画をたてた。

デザインの打ち合わせ

全体の構成を考慮しながらのデザイン

沈金刀にて、繊細な彫刻を施す

彫刻した溝に金粉などを埋め込む

金粉摺り込み後のボディーバック

沈金前のFL(右上)と、沈金後のOS(左下)

上記の沈金工程後、フジゲンにてトップコート&鏡面加工を施し、パーツの組み込み後の沈金ギター。沈金装飾をしていない部分(シースルーレッドの部分)には、ボディーマテリアルであるアルダーの木目が見られ、単純なペイントギターとは趣の異なるルックスです。日本の伝統工芸と、エレキギターをコラボレーションさせながら、ギターの木目を見せることで、より温かみのあるギターを完成させました。


Expert OS CUSTOM / ALCK

ボディートップの複雑なアーチ からボディーサイド、ボディーバックにわたり豪快かつ巨大な沈金による「鷹」のデザイン装飾が施されています。また、ヘッドストックにも同様のデザインが入っています。
ボディートップマテリアルのフレイムメイプルをシースルーブラックでフィニッシュすることにより、フレイム(炎)と「鷹」のコンビネーションを実現しました。最終トップコートはフジゲン塗装工程で、高級感溢れるアーチドトップの質感を再現。

VIRTUOSO FL / FMCK

ヘッドストックの「鷹」デザイン

ボディーサイドにも「鷹」のデザイン入り